【ちびまる子ちゃんで学ぶ民法改正】錯誤は取り消し可能に

みなさんこんにちは、行政書士見習いのめーこです!
今回も引き続き2020年「民法改正」について解説していきます。
今日のテーマは「錯誤」
2020年の民法改正で、これまで「無効」となるとされていた錯誤が「取り消し可能」に変更となりました!
2020年度の民法が問われる試験において、今回のテーマである「錯誤」は最重要論点と言っても過言ではありません!
今回の記事では契約関係をわかりやすくするため、国民的アニメちびまる子ちゃんより、
庶民代表派まる子と海外セレブな花輪くんを利用して解説していきます↓

*著作権の都合上、今週のちびまる子ちゃんはフリー素材の提供でお送りします。
*今回は解説の都合上、二人が未成年であることは考慮せずに解説しています
錯誤の規定の変更点
簡単に概要だけご説明すると、
②花輪くんは20ドルだったら譲ってあげても良いと伝える
③まる子はドルが分からず20円と勘違い
④契約
⑤支払時に、まる子の勘違いが発覚
⑥まる子は「錯誤=勘違い」を主張して、契約を取り消すことができる
という内容の改正です。

それでは、内容についてもう少し詳しく解説していきましょう!
今回参考にした書籍はこちら
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どちらも民法改正に対応した内容で、2019年度以前から学習された方にもおすすめです。
これから初めて民法改正を学習される方は特に、「民法がわかった」で概要を掴んでみてからの学習をおすすめします。
それではさっそく条文から確認していきましょう!
改正後の条文
第95条

意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張する ことができない。

1意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第2号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を 除き、第1項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥ったとき。
4 第1項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
解説
これまでは錯誤の場合は契約は「無効」となるものでしたが、「取消し」に変更されました。
また、錯誤を取消したい場合でも善意の第三者がいる場合は対抗できないという規定が追加されています。
改正前の内容で一度覚えてしまった方も、正しく覚え直すようにいたしましょう!
【ちびまる子ちゃんで】錯誤【例えてみた】
さっそくちびまる子ちゃんを題材に解説していきましょう。

こちらがまるちゃんことまる子と、クラスメイトのお金持ち花輪くんです。
花輪くんはご両親と一緒にしょっちゅう海外旅行に行っているようです。
*錯誤には【1、表示の錯誤】【2、動機の錯誤】の2種類があります!
今回は1、表示の錯誤のケースで解説していきます。
*動機の錯誤も今後説明していきますね!
それでは、それぞれ解説していきます。
①花輪くんの家で、山口百恵ちゃんの秘蔵プロマイド写真を発見
花輪くんの家に遊びにきたまる子。
机の上にある山口百恵ちゃんの秘蔵プロマイド写真を発見しました!

②花輪くんが、20ドルだったら譲ってあげても良いと伝える
花輪くんによれば、これはハワイで購入した日本未発売の秘蔵プロマイドだとか!
20ドルだったら譲ってあげても良いとまる子に伝えました。

③まる子は20円と勘違い(表示の錯誤)
花輪くんから売買の金額を提示されたまる子。
生粋の静岡生まれ静岡育ちのまる子は「20ドル」と言われても理解しておらず、すっかり「20円」だと勘違いしてしまいました。
まる子のお小遣いは月に500円。
20円だとすっかり勘違いしたまる子は、花輪くんから提示された契約内容でオッケーを出します!

錯誤の定義
まるちゃんは、この勘違い(錯誤)がなければお小遣いの範囲外の金額であるこのプロマイドを購入したいと言わなかった(意思表示をしなかった)でしょう。
このまる子の購入したいという意思表示は、「法律行為(この契約)の要素」に錯誤があるといえることになります。
④契約

その後、まる子と花輪くんは勘違いしたまま契約をします。
契約は有効
この時点で錯誤(勘違い)が発生しているとは言え、契約は有効となります。
⑤支払時に、まる子の勘違いが発覚

支払いの時になり、まる子は20円を花輪くんに渡します。
20円を渡された花輪くんはびっくり!
「ヘイベイビー…僕が言っていたのは20円じゃなくて、20ドルなんだけどナ…」

「ええー!?」
ここで初めて、まる子は20円と20ドルという勘違いをして契約をしてしまったことに気づきます。
重要なものとは?
条文には「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは…」と記載がなされました。
今回のケースでは金額という重要なものであるため、取消し可能であります。
反対に重要でないものには、以下のような軽微なものが当てはまります。
⑥まる子は「錯誤=勘違い」を主張して、契約を取り消すことができる
花輪くんから伝えられた金額にびっくりしたまる子!
20ドル=約2000円なんて、お小遣いを何ヶ月分も前借りしないと払えません!

そこで、花輪くんに対してまる子は「錯誤=勘違い」を主張して、契約を取り消すことにしました。
同時に、自分に「重大な過失がないこと」も主張します。
「主張が認められ、無事、契約を取消すことができたまる子だった(キートン山田)」
〜おしまい〜
以上が、当事者間の錯誤の取り消しの流れです!

善意の第三者については次の記事で解説します。
勘違いでも契約自体は有効のため、要注意!
錯誤は2019年度の行政書士試験でも出ておらず、2020年度は特に行政書士重要論点であると言えます。
試験の方は、改正点を正しく覚えて得点につなげましょう!
試験を受けない方も、勘違いでの契約には気を付けましょうね。

まとめ
- 錯誤は無効から「取消し」可能に
- 2020年の試験では重要論点、しっかり覚えて対策しましょう!
2件のピンバック
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